吃音を克服する…?
「吃音を治したい…!」
「吃音を克服したい…!」
あなたは、これまで何十回、何百回
もしかしたら何千回をも、こう切に願ったことがあるのではないでしょうか。
吃音が治ったら、
どれだけ人生が楽に、平穏に、幸せに暮らすことができるか…
それは吃音者にとって日々思い続ける願いです。
しかし、吃音は克服するものではないと私は思います。
吃音は、あなたの資質であり、性格が生み出す産物です。
つまり、吃音を克服しようと考えることは、
今の自分のアイデンティティーを否定するということになるのです。
それは、上手くいかなくて当然なのではないでしょうか?
吃音を克服すること=自分を否定する
ということなのですから。
吃音との正しい向き合い方とは、
私は、吃音と”寄り添って”生きることだと思います。
吃音者は、社会生活を送るうえで、様々な苦労・苦難、試練を受けることになることは、あなたも十分に理解していることでしょう。
生きにくくて当然。
しかし、それでも、
生まれ持った自分のアイデンティティーを丸ごと受け入れ、
そのうえで「どう生きるのか?」
そう考えるのです。
一旦吃音から、離れてみましょう。
...
...
あなたは「居眠り病」という病気を知っていますか?
別名ナルコレプシーと言いますが、
日中に場所や状況に関わらず、突然強い眠気に襲われて眠ってしまう病気のことです。
本人にはコントロールできない病気とされているので、
周囲からは怠け者と見られて、社会的信用を失ってしまうのです。
運転も危なくてとてもできません。
一般社会で働くことも困難でしょう。
さて、
もしあなたの親しい人が居眠り病を患っていたとしたら、
「日中何とか起きていられるように訓練した方がいい」
と促しますか?
そんなことするわけありませんよね。
本人にはコントロールできないのですから。
本当にその人を想ってアドバイスするのであれば、
そんなことは言わずに、
居眠り病を受け入れた上で、何ができるのか?
その上でどう生きていくのか?
それを本人に考えてもらう方が絶対にその人のためになりますよね。
吃音症と、居眠り病は全く別の病気ですが、
本人の意思でコントロールできないという点は一致しています。
傍から見たら、
見苦しい、変わり者と思われるかもしれませんが、
あなたの気持ちは、あなたにしか分からないのですから。
吃音症を背負うというよりは、
吃音症と共に、
それを墓場まで持っていくつもりで生きるのです。
自分を可能性を信じて、
自分らしく強く生きるのです。