時間がある程度解決してくれる
吃音の悩みは、年齢と共に薄れていきます。
あなたがもしも今、自分の吃音に深刻に悩んでいるのでしたら、
私は、あなたが、10代後半~20代の人なのではないかと推測します。
吃音症は、2~5歳に発症することが多いとされていますが、
吃音症を悩みはじめるのは、思春期に入る中学生頃からと言われています。
そして、吃音者の約半分の人が、
この頃に、社交不安障害という吃音とは関係なく、「他人と関わることに恐怖を感じる」病気を発症します。
吃音症だけでなく、社交不安障害も抱えてしまうと、
生きることも辛くなり、自死を考える人も少なくありません。
特に10代後半~20代前半にかけては、
中学校、高校、大学、就職と環境が目まぐるしく変化するため、
初対面の人と関わることも多く、
集団生活を強いられてしまうので、
学校に行くだけで疲れてしまうと思います。
それだけならまだしも、中には心のない人達がいますので、
最悪の場合、いじめられてしまう可能性もあるでしょう。
私から言えることは、
・自分が吃音症(話すことが苦手)であることを出来るだけ多くの人
(担任の先生や、気の知れたクラスメイト/会社なら同僚、上司)に知ってもらうこと。
・嫌なら嫌と言う勇気を持つこと。
・学校/会社に行くのが辛いのであれば、我慢せずに、家族やカウンセラーの人を積極的に頼ること。
まずは、周りの人は「あなたの協力者」であるという意識を持って、
出来るだけ”自分のこと”を知ってもらうことです。
前にも述べましたが、非吃音者の人は、
吃音者を「知識なし」に理解することは不可能だからです。
もう通いなれてしまった場所でも、
「今さらもう遅い」ということは決してありません。
「私にはあなたの助けが必要です」という想いを込めて、
勇気を出して相手に伝えましょう。
次に、嫌なことをされたら、「嫌です」とハッキリ伝えることです。
吃音者は、中々自分に自信が持てないですが、自分と全ての相手は”対等”です。
相手に嫌なことをされて、”我慢”する必要は全くない
ということを理解してください。
もしも、嫌だと言っていいのかどうか迷った時は、
周りの人が同じようなことをされた時に、
その人が、「嫌だ」と言うことが自然であるかどうかを考えてみましょう。
自然であるならば、あなたが同じように言ってもきっと筋違いではないでしょう。
そして最後に、
学校/会社に行くのが辛いのであれば、我慢せずに、家族やカウンセラーの人を積極的に頼ること。
これは、最終手段ですね。
まずは、自分にできる「自分らしく生きるための”配慮”」を出来る限りやり尽くし、
身近な人、親しい人の助けを借りて、
それでも、どうにもならない時です。
実際に行動に出るかはともかくとして、いざとなればそういう手段があるということを心にとどめて置くことで、よりラクに生きられると思います。
最終手段と書きましたが、会社の場合は、決して就職先が全てでは無いので、
”違和感”と”働きづらさ”を感じてきたら、
早めに上司などに相談し、
状況が変わらないようでしたら、別の仕事を考えましょう。
とここまで、怒涛の10~20代を乗り切るための方法を綴ってきましたが、
吃音症が一番辛いのは、やはりというべきか「10代後半~20代前半」です。
思春期+自我への強い意識の表れ+集団生活の強要から、
社会的位置の不安定さが「自己信頼の低さ」と、「自己否定」を助長する。
この年代が、特に吃音症が猛威を奮う時期なのです。
ですから、あなたがもし、今現在この年齢層にいるのでしたら
今は「自分の生き方を確立する」ための嵐の中にいる位に思ってもらった方が、
ラクに生きられると思います。
嵐を認識すると、それは嵐ではなくなります。
決して気楽に受け入れられることではありませんが、
「前向きに進んでいく覚悟を持つ」ということが早い段階で出来ると、
吃音の悩みから解放されるのも早いでしょう。
また、今30代以上の人も気に病む必要は全くありません。
先ほどの年代をピークに、30代、40代と年齢の経過と共に、自我意識が弱まり、
次第に吃音の悩みが薄れていきます。
「成り行きにただ任せる」
というだけでは、もどかしさは当然あるかと思いますが、
時間がある程度解決してくれるということを、どうか知っておいてください。